【開催報告】 京都大学 大規模自然災害対策・復興 全学大会議

 この度、学内緊急企画として「大規模自然災害対策・復興 全学大会議」を開催致しました。

 現在、本学では震災対策本部を設置し日々情報収集と復興支援対応の業務を行なっております。同時に、関係省庁や諸団体から様々な問い合わせがあり、大学としての対応が早急に求められている中、今、大学としてなすべきことはなにか?という大きな命題のもと、京都大学だからこそできる京都大学らしい長期的、多角的、そして根本的な取り組みを、研究分野、職階、世代の壁を超え全学一体となって議論し、それを形にする「知行合一」の場となりました。

 

<データ>

 

◆日 時: 4月28日(木曜日) 14:00-17:00

◆場 所: 百周年時計台記念館2F 国際交流ホール

◆参加者: 本学教職員79名(医学、防災、工学、社会心理、経済、医学、理学、社会心理、教育等の領域から)、一般参加者28名、ボランティアスタッフ11名。

◆主 催:京都大学震災対策本部

◆企 画:学際融合教育研究推進センター

 

 

<プログラムと概要>

 

司会; 京都大学学際融合教育研究推進センター長 余田成男

まずは黙祷から開始した。

 

14:00  開会挨拶: 京都大学総長 松本 紘

主旨) 京都大学には非常に多様で多数の学問領域が存在する。今回のような大震災は当然ながら単一の専門家では決して解決できない。防災や原子力の専門家だけでなく、医学、工学、社会心理、経済、医学、理学、社会心理、教育等の様々な研究領域の「融合」でしか乗り越えられない。そして、「行動」をともなった「知識・知恵」の活用が最も大事である。価値観の変革が求められる今、まず今回のような京都大学内での活発な「融合」を図り、今後、複数の大学と連携して「未来を語り、未来に動く」という大学の姿を示していきたい。

 

14:10 京都大学の取り組み紹介: 

京都大学理事・副学長 大西有三(震災対策本部長)

主旨) 京都大学における震災に対する取り組み数は現時点で63件(当時)。この取り組み内容は非常に多岐にわたる(下図のマッピング参照:40件程度の抜粋)。本日はこれらの取り組みの紹介だけでなく、様々な観点からのブラッシュアップを期待すると同時に、この場から新たな研究や活動が創発されることを期待する。また震災対策本部としては今後もより情報発信に力を入れていく。なお下記MAPは、今後より詳細な研究内容や担当者連絡先も付加してHPに掲載していきたい。

拡大

京都大学 防災、復旧、復興の取り組みMAP(案)

 

14:20  活動報告:

「日本復興計画」

京都大学工学研究科 藤井 聡教授

「東日本大震災復興構想会議をはじめとする政府の対応について」

京都大学経済学研究科 植田和弘教授

「東日本大震災における被災地でのロボットを用いた支援活動」

京都大学工学研究科 松野文俊教授

 

15:30 休 憩  (聴講のみの方はここで退場)

 

15:40 熟 議: (5分程度の説明の後、各班にわかれて議論)

 

 

17:00 まとめと閉会挨拶:

京都大学総長室室長・副理事 小寺秀俊

主旨) 今、産業界は規模とスピードともに大学を遙かにしのぐ動きを見せている。それを踏まえ、今、大学は何をしているのか?これから大学はどう動くのか?といった期待感と責任論が世の中に渦巻いている。まずこの本日の議論を形にしなければならない。今後、議事MEMOや参加者メッセージを分析し、それに「正しい情報」を加えてアクションプランを起こす必要がある。これを大学執行部は学際融合教育研究推進センターと協力し積極的に仕掛けていく。

 

<参加者の感想>

 

この企画に参加したあなたにとっての成果をあげるとしたら、どのようなものがありますか?(複数回答;総数79名)

新たな研究や活動の「芽」がでた 7
新たな研究や活動の「芽」がでそうな予感がした 24
新しい研究や活動のパートナーを得た 5
新しい研究や活動のパートナーを得られそうだ 17
自分の研究や活動に有益な知識や知見を得た 20
自分の研究や活動に直接的ではないがよい刺激をうけた 25
自分の研究や活動の紹介ができた 15
他の人の研究や活動にアドバイスやコメントをすることで貢献できた 5
自分の知識や経験紹介などで班での議論に貢献できた 20
異分野の研究者らと議論する楽しさを知れた 27
異分野の研究者らと議論することの意義を知れた 25

◆参加者メッセージ(抜粋)

 ”今回の会議はあくまでも第1回であり,きっかけに過ぎません.一刻も早く,被災地のためになる実行可能な提言をしなければ,会議の意味は限りなく零であり,学外の方々から「そんなものは京大の自己満足に過ぎないじゃないか」と言われる恐れすらあるかと思われます.したがって,第2回では喫緊の課題(原発問題・被災地の復興など)を解決できるであろう提言をとりまとめることを最優先課題として取り組むべきではないでしょうか.●今回の結果や、皆さんからのアンケート結果を踏まえて、短期、中期、長期、また個別課題ごとの作業部会を作っても良いかと考えます。●学際融合と専門性について:学際融合は、学問領域(スタイル)の一つであり、総合力や判断力に優れた人材養成に不可欠である。一方、専門バカもまた必要な人材である。複数の一級の専門バカの意見や知識をまとめ上げる能力は並大抵では得られないが、各専門分野の必要最低限の知識を持ち、専門に対する洞察能力を高めることは可能である。一方、学際融合家と専門家のいずれにおいても、人間性の豊かさはもっとも重要な素養であり、教育の目指す本質はそこにあると考えています。年少時の教育でその基盤が作られ、大学で行う教育とは別物のようにも思われますが、こころざしを固める時期としての大学教育の役割は依然として重い。豊かな人間性づくりのための学際融合であってほしい。大変でしょうが、どうか頑張ってください。わたしも頑張ります。●困難な試みだと思いますが,やはり組織の壁を越えようとする意志が新しい物を生み出す原動力と考えます.期待しております.●”何かものが生まれていく息吹をひしひしと感じる時間でした。素晴らしい企画だと思います。あの場の熱気をいかに保存しつつ、実際の研究へと繋いでいくかがこれからの勝負どころだと思いました。領域横断的な研究や取組などへの夢や提案を書き込むことができる場があるといいなと思います。あのような議論の雰囲気を学生・院生にものぞいてもらってもいいなと思いました。●京都大学ならではの研究が生まれてきそうな予感がします。専門だけでなく世代を超えての議論がもつ触発の力を感じました。本当にいい場を作っていただき有難うございました。御礼申し上げます。”●部局を通して話が来ると部局の代表として参加することになる。今回の試みは部局を代表してではなく個人として参加できたので、いくつかのよい出会いが得られた。一方で部局を通じた関係も重要だとは思うが、部局横断型の交流を進める方法としては、部局の代表とするのではない今回のような方法をいろいろと工夫していただければと思う。●大変貴重な機会をありがとうございました。●「融合」は結果を表す言葉であり,そのための「交流」の仕掛け作りをされているのだと理解しています.融合に至るまでのプロセス設計に関心があります.

 

◆この企画で改善点があるのは、どのような点ですか?(抜粋)

 割り当てられたテーマがあったものの、メンバーの研究フィールドが多様であったため、一つの方向にたどり着くのは難しかった(互いの研究紹介に時間がどうしてもかかるので)。その一方で、自分が聞いたことのない分野について知ることができたのは勉強になりました。●熟議の時間を倍程度に増やして欲しいです.また,熟議後に他のテーブルの各班のパネルを見ながら議論する時間も欲しいです。●議論をした後に,誰がどのようにアクションへうつすのか,その展開が見えにくい.●各ブースに学生さんが一人くらい居ても面白いと思います。●時間が短かったですが、その分冗長にならずに良かったと思います。●その場でまとめあげ、次のステップを明確に示す必要がある。●なんといっても継続性だと考えます。打ち上げ花火ではなく、ここから京都大学の復興支援が全学的に始まると認識しています。●”会場が少し狭くて、隣のテーブルに邪魔にならないように声を小さくすると、聞こえないし、隣のテーブルの声が大きくて聞こえにくかったりしてました。わがまま言わせていただくと、会場をちょっと改善していただければ、もっと快適に議論できると思います。●?時間をもう少しゆっくりとり、グループ構成を前半と後半で組み替える、あるいはメンバー表などの情報をもとに他のグループで話をしてみたいというパートナー相互でグループを後半部分んで構成してみるといった工夫も可能ではないと思いました。●?きっかけ作りの場としては十分に機能したと思いますが、さらなるブレーンストーミングをしていくための仕掛けが必要だと思いました。異分野との交流から何かが生まれる予感は素晴らしいと思います。そのシーズをいかに育てていくかのところをもう少しサポートしていただければ有り難く存じます。”●現地・現場での情報が圧倒的に少ない気がしました。おそらく、いろんな場所で、いろんな観点で情報収集する必要があると思います。分野を越えたチームで視察に行って、お互いの調査内容・手法を理解しあった上で情報共有するとか、「現地に行ったら、ついでのこんな情報を拾ってきて欲しい」といった情報ニーズを集約するなどといった連携の仕方があるのではないかと思いました。

 

以上