H25学際研究着想コンテスト

 

 

社会的課題が重層化する一方、学問分野は過度に細分化。課題発見とその解決のためにも、
そして、学問深化のためにも、複数分野からの複眼的視点が研究者には
必要不可であることは疑いようがありません。

 

しかし、今、異分野研究者同士が研鑽しあう場は充分に存在すると言えるでしょうか?
そもそも、異分野と出会う場すら少ないのが現実ではないでしょうか?

 

研究分野の細分化などもろともせず、
前例にとらわれない本質をついた大胆なビッグピクチャーを描く!
つまり、研究者は世の中を変えうる存在である!

 

今一度それを示すためにも、あえて異分野研究者がチームを組んで
A3一枚の概念図(いわゆるポンチ絵)で伝達する、
学際研究着想コンテスト『一枚で伝えるイノベーション』、開催!

 

 

企画に至った経緯

昨年度、京都大学学際融合教育研究推進センターでは、京都大学における分野融合の状況を把握するため、全教員を対象に一斉アンケートを実施しました。それは学術研究分野間の相違点を”可視化”するという試みでした。その結果、これまで定性的に話されていた事象が定量的に明らかになってきたことに加え、全く新しい傾向もみられました。

 

 

 

———興味深いアンケート結果の一部———

 

 

●「職位があがるほど、研究や教育以外の業務の割合が増える」や、「社会・人文系は論文よりも著書のほうを業績として重視する」といった普段定性的に語られていたことが明確に定量データとして得られている!

 

●学内の他分野の教員と出会う場として約6割が「会議」と答えた。そのうち半分はなんと学外で開催される会議と答えている!

 

●1ヶ月で他分野の研究者と関わりをもつ回数は1〜3回程度がほとんどであったが、全分野に共通して「自分以外のどの他分野の人とも関わりを持っていない」人が平均2割程度存在していた!

 

●企業および行政との共同研究実施経験の割合が一番高かったのは工学系。その一方、研究室間の共同研究および他部局との研究会の実施・参加の割合が高かったのは人文・社会科学であった!

 

 

●文系と理系とで学系は異なるが、“研究文化”は類似している学術領域が判明した!例えば、「情報学系と経済経営学系」、「物理工学系と地球工学系と医学系」など。連携プロジェクトを実施するとき、これらの分野での相性は抜群だと考えられる。

 

 

このアンケート結果全体を通じてお読みいただければわかりますが、すべて「如何に連携するか?」という一貫した観点のもとに分析しています。象徴的なのは、最終章の「分野別連携のコツ」(33〜36p)という記事です。もし、このアンケートが論文に投稿する目的で「完全に正確」かつ「完全にフェア」を主眼においているのであれば、このようなある意味乱暴な記事は決して記載しないでしょう。しかし、我々は「完全に正確」かつ「完全にフェア」であることよりも、「実際に動く!」ことに結びつくことを優先したいと考え、このようなアンケート結果の掲示にいたりました。

 

アンケート結果を踏まえた次なる展開としてコンテストを実施

 

アンケート冊子29,30pに記載があるように、どの学術分野においても異分野交流への参加意欲は8~9割と高いが、実際には交流の機会が少ないと感じている教員が4~5割を占めている、という事実が判明しました。

この結果を受け、異分野研究者同士の出会いの場、そして研鑽の場を提供することを目的として、「学際研究着想コンテスト“一枚で伝えるイノベーション”」を実施するにいたりました。

 

特徴

コンテストの詳細(公募要領や申請内容など)については、こちらの特設サイトをご参照ください。

以下は、主立った特徴をまとめたものです。

 

 

●申請書はA3一枚の概念図のみ!

(一般的には複数枚のワード書類を提出させるなか、1枚の「図」だけでの応募は画期的なこと!)

 

●京大の研究者とチームを組めば誰でも応募可!

(外から学内の研究者を刺激するねらい)

 

●審査は、本質をついているか?大胆か?インパクトがあるか?など、いわゆる「京大らしいか」について総合的かつ感覚的に評価する!

(審査基準を細かくしてはイノベーションなんておこるわけない!)

 

●特設サイトにて、メンバーを募るバーチャル掲示板を設置!

(”メンバー募集”と”私を使って!”の二種類を選択して掲載。いわゆる研究者向け出会い系掲示板)

 

●バーチャルだけでなく、リアルにもオフ会としてリアル交流会を実施!@吉田キャンパス

(前夜祭的にイベントを実施)

 

●応募者全員に審査員がオブラートに包まれてない真の「感想」を伝達!

(本音トークでこそ、真のフィードバックが得られるというもの!変な遠慮はなし)

 

●一次審査通過者には約1ヶ月かけてその道のプロが研究内容やプレゼンを二人三脚でブラッシュアップ!とびっきり上質のスキルアップ期間を!

(ここがまさに研究者にとっての”研鑽の場”!)

 

●副賞として10~100万の支援金!

(研究助成金ではなく「支援金」。いわゆる賞金のようなものなので使用の自由度はかなり高!)

 

●一次通過者と受賞者はタイトルと応募者のみ公開。コンテスト本番は非公開。守秘義務契約のもと安心してアイデアを披露可能!

(なんでもかんでも公開の昨今に一撃を食らわすねらい)

 

●コンテスト終了後もその後の展開について個別フォローアップ!

(なぜあなたの提案が評価されなかったか、同日のプレゼンではどこをどう気をつければよかったか、などの反省フィードバックに加え、今後、どのように研究を展開させていくか?を二人三脚で相談。)

 

 

内容

当日のプログラム

 

司会:学際融合教育研究推進センター 宮野 准教授・総長学事補佐

 

10:25 開会挨拶(学際融合教育研究推進センター長中村教授)

10:30 第一ラウンド 弾丸プレゼン8分☓5組

11:30 第二ラウンド 弾丸プレゼン8分×5組

12:30 ポスターセッション&交流&審査(軽食あり)

13:30 審査締め切り&事務局が集計開始

13:35 審査員は別室にて検討会議

13:50 表彰式

14:58 総評(鼎会和田会長)

15:00 閉会挨拶(松本総長)

 

 

コンテスト本番審査員

 

学内:

松本 紘  総長

吉川 潔  理事・副学長(研究担当)

江﨑信芳 理事・副学長(企画担当)

田中耕司 教授(白眉センター長)

横田 真 教授(学際融合教育研究推進センター副センター長)

浅野耕太 教授(総長首席学事補佐)

 

学外特別有識者:

佐山展生氏 インテグラル株式会社代表取締役パートナー(鼎会*1より)

武田修三郎氏 武田アソシエイツ代表・思修館特任教授・文科省参与

千野境子氏 産経新聞社 客員論説委員 (伯楽会議委員*2より)

藤原 洋氏 株式会社ブロードバンドタワー 代表取締役会長兼社長CEO(鼎会より)

和田紀夫氏 日本電信電話株式会社特別顧問(鼎会より)

 

*1鼎会とは、京大有力卒業生からなる総長支援組織の名称

*2伯楽会議とは、京都大学白眉センターにおける白眉研究者を審査する委員会組織

 

 

最終ヒアリング対象10件のタイトルと受賞

 

最優秀賞:

該当なし

優秀賞:

視覚・聴覚に続く第三の電子媒体「匂い」その時代に備えるための技術革新と社会環境整備

優良賞:

●アフリカとの知の共有 〜JIKA-TABIを通じたあらたな技術文化の創造と革新過程の研究

●食の三段階欲求を満たす食材、食品改質による人類救済

奨励賞:

●データを食べて進化 近未来を予知 我々人間の相棒になれるのか ソーシャロイド

●科学を「感じる」可能性の研究

●骨相学 再び  観えるものを、よく視る

●見えない力を見ることで、DNAを越えた生き物の形づくりのロジックを解き明かす

●不便だから楽しい学び場のデザイン

●ソーシャルメディアの医療活用というタブーに挑む

ー医療現場の外のWeb上で語られる患者家族の語りを抽出し活かすフレームワークー

●宇宙人に伝えたい~コンテキスト共有ゼロからの創出~

 

なお、H25年は最優秀賞は該当なし。他は、優秀賞1件、優良賞2件の他、他のチームにも奨励賞が授与されました(順に50万、30万、10万の支援金)以下は、当日のポンチ絵(あえて詳細情報は読めないようにしてあります)

また、”骨相学”および”DNAを越えた生き物の形づくりのロジック”は「学術研究部門」。それ以外はいずれも「社会的課題解決部門」でした。

 

pontie

 

その後の展開 反響など

 

コンテストの記事がWIREDに掲載されました!こちら

 

その他、各チームの進展状況は・・(2013年11月時点)

●優秀賞の小石チーム、優良賞の塩尻チームは科学研究費助成事業への応募を検討中

●杉村チームが、学際センターの支援を要請し、今後、ユニット形成などを視野にいれての検討を始めている

●文科省研究力強化事業の枠組みの中で、研究グループを継続的に支援する予定。

●地下足袋グループがベンチャーファンドにコンタクト開始 などなど  (H23年11月時点)

 

 

コンテストの様子

 

 

最後に・・・

 

実施における工夫を盛り込んだ報告書は下記

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